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ホームロイヤー養成講座 [弁護士会]

久しぶりにBlogを。

2012年6月から、日弁連の高齢社会対策本部の事務局長を拝命しました。
それ以来、県外で講演する機会が増えました。

先週は、札幌弁護士会で「ホームロイヤー養成講座」の講師をしました。
札幌弁護士会の会員だけではなく、旭川弁護士会とテレビ中継をし、函館弁護士会、釧路弁護士会、帯広など北海道全域から弁護士が研修に集まりました。
北海道では少し有名になったのかもしれません。

ところで、「ホームロイヤー」ってなんだ?という疑問があるでしょうね。
確かに聞き慣れないフレーズです。
「ホームドクター」という言葉は比較的ポピュラーです。
これと同様に、ある家庭のお抱え法律家というイメージです。
しかも、対象になるのは高齢者です。
高齢者にとって、老後をおくる場合、様々な問題が起きます。
そのような様々な問題に対して、包括的かつ長期的に支援するために、このような仕組みを考えました。
これまで、弁護士に対する敷居が高かったため、このような敷居を取り払って、高齢者に寄り添うことを仕事の中心に据えています。

高齢社会対策本部は、高齢者・障害者のために弁護士・弁護士会は何をすべきかという視点で、様々な企画を立案しています。

高齢者・障害者のために、弁護士・弁護士会に対するアクセス障害をなくすことと、若手弁護士のために業務改革をすることが、この本部の狙いです。
来月「高齢者のためのホームロイヤーマニュアル(仮題)」という本が加除出版から出版されます。
私も冒頭部分を担当しています。
この本を一読していただくと、「ホームロイヤー」の実態をご理解いただけると思います。
よろしければ、ご一読ください。
                                           
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高齢者虐待対応専門職チーム② [弁護士会]

(昨日のつづき)

 弁護士と社会福祉士がチームを組んで、市町村・地域包括支援センターが行う虐待対応のケース会議に参加するというのが「専門職チーム」のスキームである。

 この場合、2つのマッチングが必要になる。

 
1 弁護士会と社会福祉士会との間でのマッチング

  日頃から弁護士会と社会福祉士会との間に交流があれば、それほどハードルは高くない。しかし、高齢者虐待についてだけ「チーム」を組もうというのは、かなりハードルが高い。

  そして、チームができた後の問題がある。市町村からケース会議への参加を求められた場合に、出席できる弁護士・社会福祉士をどのように探していくのかという点だ。特に、社会福祉士の大半は、都道府県や市町村の役所に勤めている人が多く、ケース会議を開催するときに出席可能な社会福祉士を確保することはかなり難しい。

 
2 「専門職チーム」と市町村とのマッチング

  仮に、弁護士会・社会福祉士会側のマッチング体制が十分出来上がっていても、「チーム」と市町村とのマッチング(契約)は、ハードルが高い。市町村によっては、役所にも社会福祉士がいるから、弁護士だけで良いと考えているところもある。

  市町村の担当職員である社会福祉士は、虐待事例を客観的に俯瞰することは難しい。むしろ、上司の担当課長に対して「虐待認定」や「緊急性」について、部下の社会福祉士が意見を言うことができないこともある。また、担当課長としては自己の保身のため、部下の言うことを素直には聞き入れられないということもある。そのような関係性からは、虐待に関する事実確認や緊急性の判断がゆがんだものになる可能性が高い。

  そのために、利害関係のない社会福祉士と弁護士が、客観的な立場から冷静にアドバイスをすることが重要になる。

  放っておけば高齢者の命に重大な結果が生じるおそれがあるのに、虐待者(高齢者を養護している人)からの強烈な脅しに屈して、虐待対応ができないという事態に陥る。

  「専門職チーム」は、そのような場合にケース会議の場で、足りない情報は何か、その情報は誰から取得することができるかというところから入っていく。そして、それらの情報に基づいて、虐待認定や緊急性の判断、とるべき措置などについて、法律の専門家と、福祉の専門家から、客観的なアドバイスをする。

  市町村が虐待に対応したときのリスク(虐待者からの訴訟リスク)と、虐待対応しないことによるリスク(被虐待者の死亡)を比較衡量すると、市町村は適切に虐待対応すべきであることを理解してもらうことも、「専門職チーム」の役割のひとつである。

(つづく)
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高齢者虐待対応専門職チーム① [弁護士会]

 2012年4月14日 (土)、霞ヶ関の弁護士会館で、日本弁護士連合会と日本社会福祉士会が主催する、「高齢者虐待対応専門職チーム経験交流会」が開かれた。全国から160人の弁護士と社会福祉士が集まった。

 2006年に施行された高齢者虐待防止法は、高齢者虐待の対応については、市町村・地域包括支援センターを責任主体であると位置づけている。

 しかし、市町村や地域包括支援センターの担当者は、必ずしも高齢者虐待について専門性が高いとは限らず、虐待対応が適切になされているとは限らない。

 そこで、高齢者虐待対応について、市町村・地域包括支援センターが適切な対応をするための仕組を確立するとともに、市町村・地域包括支援センターの担当者が具体的な対応を適切に実施することを目的に、「専門職チーム」を設置することにした。

 「専門職チーム」は、高齢者虐待に精通した弁護士と社会福祉士からなるチームが、それぞれの視点から担当者に助言を行い、対応力を高めることを目指して、2006年に「専門職チーム」が創設された。

 「専門職チーム」は、以下のようなスタンダードモデルのもとに活動する。

① チームとして助言にあたること
  2つの異なる専門職の視点と発想で、客観的に助言をすることにより(弁護士:虐待対応における法的な枠組に関する助言、社会福祉士;虐待対応の実践方法に関する助言)、実効性のある役割を果たすことができる。

② 助言者(アドバイザー)であること
  チームによる助言により、責任主体である市町村・地域包括支援センターが虐待対応に関する力をつけることを目指す。従って、助言者(アドバイザー)としての立ち位置を堅持する。

③ 個別のケース会議を通じた助言であること
  個別の事例を通して、市町村・地域包括支援センターの高齢者虐待に対する仕組を確立し、同時に事例について適切かつ具体的な対応策を検討することを目指す。従って、チームの助言は、個別のケース会議を通じた助言を中心とする。

④ 市町村との契約に基づく助言を目指すこと
  多くの都道府県では、都道府県の権利擁護等推進事業の予算を活用し、同事業の受託に基づき、市町村や地域包括支援センターに専門職チームを派遣している。しかし、高齢者虐待への対応を、実効性があり恒久的なものとするためには、高齢者虐待の責任主体である市町村との契約を進める必要がある。

 2012年4月現在、38の都道府県で「専門職チーム」が活躍している。未設置県は、北海道、秋田、茨城、栃木、東京、神奈川、長野、和歌山、鹿児島だ。

(つづく)

 
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市民後見人 ④ [成年後見]

  横浜市が、昨年(平成23年)厚生労働省の「市民後見推進事業」(モデル事業)に参加し、様々な論点について議論したことは、前述のとおりである。
 http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/dl/shiminkouken_17.pdf
  
 それらの議論をとおして、横浜市では以下のような理念に基づく仕組みを創る。
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/dl/shiminkouken_74.pdf

◎ 地域で暮らし続けることを支える地域福祉の推進
  認知症や障害があっても地域で暮らし続けることを可能とする、ノーマライゼーションの理念を、市民参画で実践する

◎ 成年後見制度本来の担い手としての市民後見人の養成
  同じ市民の立場で本人に寄り添い、きめ細かい支援を行う市民後見人を本来の担い手として養成
  市民がお互いに支えあう共生社会の実現をめざす

◎ 市民、社協、専門職、 行政等による重層的な権利擁護体制の構築
  各区の成年後見サポートネット等で培った連携を土台に、市民の参画を得て、それぞれの特徴をいかした権利擁護のネットワークを強化

  この3つの柱のうえに、「市民後見よこはまモデル」 を創り上げ、横浜らしく、地域福祉推進と一体となって区域での養成と活動支援を展開する。注目すべきは、市域ではなく区域できめ細かく市民後見人を支援するネットワークを構築することである。

 実施体制としては、以下のように公的機関と専門職団体が、有機的に連携して、市民後見人を養成し支援するという仕組みを創る。

①横浜市社協「横浜生活あんしんセンター」
  後見推進機関として市民後見人養成・支援の中核を担い、研修実施や人材登録、区社協への支援を行う。
②区社協「○○区あんしんセンター」
  区域の市民後見の実施機関として、市民後見人への助言等日常的な活動支援を行い、区域の小地域支援と連動した市民後見を推進する。
③専門職団体
  区成年後見サポートネットに参加し、市民後見人が求める専門的助言を行う。その際区社協が仲介を行い円滑に実施する。
④区役所
  地域包括支援センター等と連携して、区長申立事案の後見人候補に市民後見人が相応しいか検討する。また地域福祉保健推進の観点で区社協とともに区域での市民後見推進を図る。
⑤横浜市役所
  市全体の市民後見推進を統括し、家庭裁判所との調整や実施体制の整備を行う。

 このように、行政・社協といった公的機関と、弁護士会・社会福祉士会などの専門職団体が、重層的に養成と支援に関わることによって、後見監督人としてではなく、後見監督人よりも密接かつ組織的に関わる仕組みを構築して、市民後見人を常時バックアップする体制をつくることにした。

 横浜市における市民後見人推進のロードマップは、以下のとおりである。まず、3区のモデル区で養成・支援を実施し、その後18区に拡大していく。

 平成24年度 <第1期モデル区> 募集・説明会 養成研修(半年程度)
 平成25年度 <第1期モデル区> 実務実習(1年程度)
          …主に市社協が実施する法人後見の支援員に同行するなどして実務の実態を体験する
 平成26年度 <第1期モデル区> 登録・個人受任
          <第2期実施区>   募集・説明会 養成研修(半年程度)

現状では、各区の社協は支援機関としての体制整備ができていない。約2年間で、公的機関の体制整備をし、専門職団体との連携を強めていくことになる。前途は多難だが、地域に根ざした成年後見制度を確立するための産みの苦しみを、地域を挙げて乗り越えていかなければならない。歯を食いしばって邁進するしかないといったところだ。

(おわり)
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市民後見人 ③ [成年後見]

 厚生労働省は、昨年(平成23年)「市民後見推進事業」(モデル事業)を展開した。それに応じて全国37のし市町村がこのモデル事業を実施した。

 この事業は、厚生労働省が全額事業費を支出する、いわば10/10の事業である。横浜市もこのモデル事業を実施した。
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/shiminkouken/index.html
  
 このモデル事業に基づき、「横浜市における市民後見人検討委員会」では、以下のような論点について議論がなされた。

1 市民後見人の必要性
  なぜ市民後見人が必要なのか。

  この点については、地域で生活をする高齢者・障害者を、地域で支えて行くという地域福祉の考え方からすれば、地域に根ざした市民が成年後見人に選任されて高齢者・障害者を支えて行くことが本来の姿ではないのかと結論を導いた。成年後見人の受け皿が足りないから、市民後見人を養成するという考え方ではなく、成年後見制度本来の趣旨から必要性が導かれることを確認した。

2 市民後見人の考え方(定義・位置づけ、報酬の有無など)
  施設入所者を中心に考えるのか、在宅を中心と考えるのか。
  身上監護を中心に考えるのか、身上監護+財産管理と考えるのか。
  報酬請求を認める否か。認めた場合、養成機関に上納は可能か。

  地域で地域の高齢者・障害者を支援するという視点からすると、在宅の高齢者・障害者をすることが基本になる。しかし、施設入所の高齢者・障害者を排除するものではない。
  また、高齢者・障害者をトータルで支援するという成年後見制度の趣旨からすれば、身上監護にだけ偏って支援するのではなく、身上監護の基盤となる財産管理についても、市民後見人は担当すべきである。
  報酬については、市民後見人が責任をもって後見業務を実施するためには、報酬請求を認めるべきである。市民後見人が担当する後見業務の特性からすると、後見報酬が多額のものになることは考えにくいことも、この考えの下支えになっている。

3 市民後見人の活動形態
  法人後見支援員として活動するのか、個人として活動するのか。

  地域の市民が地域の高齢者・障害者を支援するという理念からすると、市民が個人として活動することが基本になる。法人後見の支援員としての活動は、市民後見の理念とは少し異なる視点になる。

4 市民後見人の活動内容(生活の場・地域とのつながりなど)
  広域対応をするのか、地域で対応していくのか。

  地域の市民が、地域の高齢者・障害者を支援するという視点からすると、広域対応ではなく地域で対応していくべきである。

5 登録と受任までのサポートと、受任後ののサポート
  市・市社協・区社協など公的機関と、弁護士法・社会福祉士会など専門職団体は、どのようなサポート体制を整えるべきか。

  市民が市民を支える場合、重層的な養成と支援が不可欠である。それがないと、素人である市民後見人は高齢者・障害者に対して実質的な支援をすることができなくなる。また、実質的な監督を担保するためには、行政や社協などの公的機関と、弁護士会や社会福祉士会などの専門職団体との密接な連携が必要である。

  横浜市では、市民後見人について、このような論点整理をした上で、制度設計をすることになった。

(つづく)
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市民後見人 ② [成年後見]

 市民後見人を養成し、既に家庭裁判所から選任されている市町村がある。
 大阪市では50件を超え、北九州市、世田谷区、品川区でも、それぞれ30件を超えている。

 これらの市町村の市民後見人像は区々である。
 市民後見人のあり方について、法律には何の基準も示されていないからだ。
 いわば市町村が、その地域に合った仕組みを創りその仕組みに則って運営するという建付だ。

 
 このように、何らの枠組みも示されていないことから、
 某国立大学は「××大学市民後見人養成講座」を開設した。
 受講料は、なんと63,000 円。
 しかし、この講座を受講したからといって家裁から市民後見人に選任される保証はない。

 
 養成しさえすれば、それで終わるというものではない。
 むしろ、養成した後に家庭裁判所に推薦し、選任後市民後見人を支援する仕組みが重要だ。
 
 養成と支援の仕組みとして、地域の公的機関(市町村と市町村社協)と、地域の専門職団体(弁護士会や社会福祉士会)がどれだけ重層的に関わっているのかという点が重要である。

 市町村ごとに市民後見人に対する位置づけが異なる。その位置づけによって市民後見人養成のカリキュラムも異なるであろう。また、市民後見人に対する支援は、市民後見人が活動する地域の行政と地域の専門職が支えて行くべきだ。

 その意味で、養成のプロセスと、支援のプロセスに、行政と専門職がいかに深く連携しているのかが、重要なポイントとなる。

 厚生労働省も、平成24年2月の全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議で、市民後見人の育成及び活用の取組みについて、市町村が責任主体であり、専門職団体と連携をして、市民後見人の養成と支援をすべきであるというスキーム示すに至った。

(つづく)
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市民後見人 ① [成年後見]

 改正老人福祉法が平成24年4月1日に施行される。
 私はこの改正の中でも、老人福祉法第32条の2の創設に注目している。

 同条は、後見等に係る体制の整備に関する条文だ。
 その内容は、
・市町村は、後見、保佐及び補助の業務を適正に行うことができる人材の育成及び活用を図るために必要な措置を講ずよう努めるものとすること。
(1) 研修の実施
(2) 後見等の業務を適正に行うことができる者の家庭裁判所への推薦
(3) その他必要な措置(※) 
(※)例えば、研修を修了した者を登録する名簿の作成や、市町村長が推薦した後見人等を支援することなどの措置が考えられる
・都道府県は、市町村の措置の実施に関し助言その他の援助を行うよう努めるものとすること。

 この法改正の趣旨は、地域の高齢者は地域が支援をすべきだという理念に基づく。

 すなわち、高齢者が地域で自立した生活を営むためには、医療・介護・予防・住まい・生活支援サービス・が切れ目なく提供される「地域包括ケアシステム」の構築が必要であり、そのシステムの中核に市民後見人を位置づけようというものだ。

 障害者についても、障害者虐待防止法が平成24年10月に施行され、平成24年度から市町村の障害者成年後見制度利用支援事業が必須事業になり、障害者の権利擁護を強化する動きがある。

 老人福祉法の改正は高齢者に関するものではあるが、成年後見制度は高齢者のみならず、障害者もターゲットにしているため、市民後見人による支援の対象は障害者も含まれる。

 「市民後見人制度」は、地域で生活する市民が、地域で生活する高齢者・障害者を支援するという理念に基づく制度だ。

 地域で高齢者・障害者を包括的に支援するためには、成年後見制度をより一層充実させる必要がある。そのための社会資源として市民後見人を養成し支援する必要があるという理屈だ。

 http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/shiminkouken.html
 
(つづく)
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高齢者への法的支援 [弁護士の仕事]

 高齢者の皆さんは、さまざまな悩みを抱えている。

 たとえば、
  介護が必要になったらどうしよう。認知症になったらどうしよう。
  財産の管理をしてもらいたい。年金では生活が苦しいどうすればいいの。
  騙されてローン組まされちゃった。息子が暴力振るう。娘から年金をとられた。
  最後まで家で暮らしたいんだけど、そのとおりにするにはどうしたらいいの。
  無理に治療せず安らかに死にたいんだけど。 
  私の遺した財産で争わないでほしい。などなど。

 高齢者の皆さんは、加齢に伴って様々な不安と日々葛藤している。
 そのような高齢者という属性に着目した横断的な支援が必要である。

 高齢者の皆さんは、市民としての一般的な法律問題から、高齢者特有の問題まで、重層的な悩みを日夜抱え込んでいる。高齢者への法的支援は、そのような高齢者の生活全般を見通した上で、総合的になされなければならない。
 
 高齢者の皆さんへの法的支援は、その射程範囲が広範で、かつ専門的で、しかも総合的であることに特徴がある。

 そのため、高齢者の方から法律相談を受ける場合には、その相談は氷山の一角であり、水面下には大きな悩みの氷が横たわっていることを認識しながら聴いていく必要がある。

 場合によっては、真の悩みが隠れていて、別の角度から相談をされることもある。そのような場合には、多方向から質問を重ねることによって、悩みの本質が浮き彫りになってくることがある(いくら頑張っても浮き彫りにならないようなら、日を改めることも必要だ)。

 そのように、受け止める側が粘り強く(気長に…)聞き出していくことが重要だ。

 また、現在高齢者に対する法的支援の体制整備ができていない。特に、高齢者はわざわざ弁護士の事務所を訪ねることは難しい。弁護士の側が高齢者にアウトリーチするという手法が不可欠だ。このことを、法的サービスのバリアフリーと言ってもよい。

 さらに、高齢者にまつわる制度や仕組みに精通している弁護士ばかりではない。高齢者の皆さんから相談を受けた時に的確に回答できるだけの専門性を高める必要がある。

 そして、弁護士だけでは高齢者の皆さんの問題を解決することができない問題が沢山ある。そのような場合には、ケアマネさんやケースワーカーさん、ヘルパーさんなどの支援者と連携して支援をする必要がある。

 法的なバリアフリーがなされ、専門性の高い弁護士による支援者と連携した対応が、高齢者への法的支援の要諦であると思う。

 (おわり)
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4度目の被災地 ④ [被災者支援]

(前回のつづき)

 2月9日、釜石の仮設住宅で講義を終えた後、大船渡へ向かった。大船渡では、ある社会福祉法人で、「市民後見」を中心に高齢者の権利擁護について話をすることになっている。

 
 話し終わって、「大船渡屋台村」 http://www.5502710.com/ へ連れて行ってもらった。
 時刻は8時半を回っていた。相変わらず雪が降り続き、寒暖計は氷点下5度を示している。

 瓦礫を処理した跡地に仮設のプレハブを建て、そこに居酒屋や寿司屋などが屋台村を作って営業している。20軒の飲み屋さんが肩を並べていて、そこそこ繁盛している。2年間限定で大船渡市から店舗をかりているのだそうだ。

 夜遅かったせいで、屋台村がどのような場所に立地しているのか分からなかったが、翌朝その横を通ると港の直ぐそばにあったことが分かった。以前は商店が建ち並んでいて賑やかな場所だったそうだ。ところが、すべてを津波に流されて辺りには何もなくなっていた。

 始めに、「かあさんのおもてなし喜楽」に入った。 http://shoplist.5502710.com/e402.html
 自家製おでんが絶品だった。大船渡には、「煮付け」という食べ物があり、これも旨かった。
 しかし、「おでん」と「煮付け」の違いが分からなかった。
 もう一度尋ねて、研究しないといけないな。

 ここの女将さんは、津波で家を流され仮設住宅で暮らしている。
 高台移転の話が出ていて、具体的な内容になると役所と住民の意向が折り合わないようだ。単に高台に家を造れば良いという役所の考えに対して、高齢者・障害者の将来の生活を見据えた仕掛けも造ってもらいたいという住民の意向の間に、大きなずれがあるようだ。

 次に、「おふくろのあじ えんがわ」を訪れた。 http://shoplist.5502710.com/e336.html
 マスコットガールとして、大正生まれの母ちゃんがいる家庭料理の店だ。昼間は、この母ちゃんが「ひっつみ」という、すいとんのような食べ物を出してくれる。夜は、この母ちゃんのお嬢さんが2人で飲み屋をやっている。このお嬢さんが美人で人気を博している。「バンキシャ!」の取材を受けたそうだ。復興をめざす意気込みが会話の端々に溢れていた。

 この店は、地元の人たちが集まって情報交換をする場になっていて、「えんがわ」という店名はこれに由来しいている。 http://engawa1960.5502710.com/

 津波被害にあった皆さんの思いを受けとめながら、飲む熱燗は心にしみる。傍観者ではなく、自分のこととして受けとめ続けることの大切さを、ずしりと受けとめた。

 被災地の復興は、遅々として進んでいない。行政の不手際には目を覆いたくなる。
 しかし、被災地の住民は、自らの力でコミュニティの将来像を描き始めている。
 住民の皆さんが描く将来への道筋に対して、行政が手枷足枷になることだけはやめて欲しいと祈るばかりだ。

 (おわり)
 
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4度目の被災地 ③ [被災者支援]

(前回のつづき)

 2月10日、私は大船渡で2つの仮設住宅を訪問した。

 現在、大船渡市の仮設住宅にサポートセンターはない。平成24年4月までに4カ所に設置する予定だ。

 そこで、サポートセンターが存在しない仮設住宅の現状について調査をした。
 各仮設住宅には、1年限定で期間雇用された「支援員」がいる。その支援員は、市から業務委託を受けた私企業に雇用されている。支援員は概ね1つの仮設住宅に1人配置されており、大きな仮設住宅には複数の支援員が配置されている。

 支援員は、各仮設住宅の住民から市などに対する要望などを聴き取り、それを雇用されている私企業に報告し、私企業はその報告を市などに報告するという形で、仮設住宅の住民の要望などを伝達する。支援員は、住民からの生活相談や法律相談などを受けた場合でも、自ら解決したり専門職に伝えることは禁じられており、すべて雇用主である私企業に伝え、それを市などに伝えなければならないようだ。

 そのため、住民が緊急に支援員に相談をしたり依頼しても、その相談や依頼が実現するまでに時間がかかることになり、住民はその点について不満を抱いているようだ。

 支援員は、高齢者・障害者に特化して何かをするという役割を担っているわけではない。そのため、高齢者・障害者は自分の思いを支援員に伝えきれているわけではない。

 また、仮設住宅に居住する高齢者・障害者は自宅に引きこもりがちだ。サポートセンターのない現状において、高齢者・障害者を居室から外に出てもらうことに支援員は頭を悩ませている。ことある毎に声がけをして、イベントがあれば出かけるように促すことが毎日の日課になっている。

 高齢者・障害者の孤立防止のためにもサポートセンターは不可欠であり、高齢者・障害者にとって身近な場所にサポートセンターが必要であることを再確認した。

さらに、サポートセンターには、ある程度の裁量権をもつライフサポートアドバイザーが必要だ。ライフサポートアドバイザーが、高齢者・障害者のニーズを吸い上げ、迅速に対応するというシステムが必要であることも実感した。

 
 複数のサポートセンターがある場合、サポートセンター相互の情報交換と共通の研修が必要だ。また、岩手県全域のサポートセンターの担当者を集めた研修も必要である。サポートのスタンダードを構築することによって、高齢者・障害者の権利擁護のファンダメンタルズを確保することが必要だと思う。 

 高齢者・障害者は、仮設住宅のなかで充分な支援を受けることができない状況だ。そのような状況を打開するためには、仮設住宅にサポートセンターを設置するとともに、ライフサポートアドバイザーが専門知識をもって積極的に高齢者・障害者に関わることが不可欠だ。

(つづく)


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4度目の被災地 ② [被災者支援]

(前回のつづき)

 2月9日、岩手県釜石市のサポートセンターで、私は以下の単元を担当して講義を実施した。

④ LSA・行政職員のための「法律に関する基礎知識」その4
 ・成年後見制度
 ・虐待問題
 ・介護問題
 ・まとめその他

 雪が降り続きポイント故障のため新幹線と釜石線が大幅に遅れた。そのため、講義は定刻より遅れて始まった。出席者は15人。民生委員2人、大船渡市でサポートセンターを受託する予定の法人から3名が参加し、それ以外の10名が、うかがったサポートセンターの職員だ。

 釜石にはサポートセンターが3カ所あり、他の2カ所にも出席要請をしたものの参加はなかった。サポートセンター同士の連携が充分になされていないのかもしれない。仮設住宅で暮らす高齢者・障害者にきめ細かな支援をするには、サポートセンター相互の連携や、サポートセンターと地元の社会資源との連携が急務であると思う。

 講義については、理念的な説明については概ね理解を得られたように思うが、理念と現場との間に乖離があるようだ。その点については、個別に意見交換をすることができた。

 たとえば、成年後見の市町村長申立や成年後見利用支援事業について、釜石では市町村長申立がほとんど行われておらず、利用支援事業の予算立てもないようだ。

 この点について、釜石では、親族が近くにいるケースが多いため、身寄りのない高齢者・障害者が少なく、市町村長申立の必要な事例が少ないのではないか、などという意見があった。
 
 しかし、個人的には、成年後見制度に対する啓発が不充分であり掘り起こしができていないのではないかという感想をもった。

 また、高齢者虐待については、高齢者虐待の定義や、なぜ虐待認定をする必要があるのか等について説明をした後、通報から市町村による虐待認定、虐待対応、虐待対応の終結に至るフローについて説明をした。
 
 それに対して、民生委員から経済的虐待を発見しても、市が虐待と認定するケースがほとんどないのではないか、見て見ぬふりをしているのではないか、という本音の発言があった。

 特に経済的虐待については、通報をすると高齢者を含めて家族の生活が立ち至らなくなるのではないかという意見がでた。市町村や地域包括支援センターが、適切に高齢者虐待へ対応する体制整備ができていないのではないかと思う。

 高齢者・障害者の権利擁護については、スタンダードというべきものはあるものの、地域の特性を無視することはできない。とはいえ、体制整備が不可欠であるとともに、権利擁護の責任主体である市町村や地域包括支援センターの職員への意識付けが、まだまだ足りないのではないかという印象をもった。

(つづく)

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4度目の被災地 ① [被災者支援]

 5月、6月、11月に続き、2月9日10日と被災地を訪れた。

 日弁連の高齢者障害者の権利に関する委員会、震災プロジェクトチームのモデル事業で、岩手県釜石市の仮設住宅に隣接するサポートセンターで、LSA(ライフサポートアドバイザー)に講義をすることと、仮設住宅で生活をする高齢者・障害者の実状について調査をすることが訪問の目的だ。

 ここで仮設住宅のサポートセンターについて説明をしておかなければならない。

 東日本大震災の被災地の仮設住宅における高齢者等の安心した日常生活を支えるため、総合相談、居宅サービス、生活支援サービス、地域交流などの総合的な機能を有する「サポート拠点」をサポートセンターと名付けている。
  サポートセンターの特色は以下の点である。
① 仮設住宅入居者の孤立や要介護度の悪化を防止するとともに、高齢者が気軽に訪れることのできる「居場所づくり」を目指す。
② 仮設住宅地の中心部に、総合相談、デイサービス、地域交流、診療機能等の機能を有する、総合的なサービス拠点として整備する。
③ ケアコールシステムを活用して24時間体制での見守りを支援。
 なお、以下のURLのサポートセンターは私が伺った所とは異なるが、参考のため添付する。
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001biyf-att/2r9852000001nu5j.pdf

 仮設住宅に住まう高齢者・障害者は、放っておくと住まいに一日中居続けることになり、他の住民から孤立することになる。その結果、認知症が進行したり、既往症が悪化することにもつながる。そのような状況を防ぎ、仮設住宅のなかで高齢者・障害者が以前の自宅で送っていた生活に近い環境を保持することが、サポートセンターの目的である。そこで、高齢者・障害者の支援をしている人が、LSA(ライフサポートアドバイザー)だ。彼らは、仮設住宅に住む高齢者・障害者から、様々な相談を受けて対応している。

 日弁連は、東北三県に全国の弁護士を4人ずつ割り付けて、サポートセンターでのLSA(ライフサポートアドバイザー)に講義をすることにした。カリキュラムは以下のとおりだ。
①LSA・行政職員のための「法律に関する基礎知識」その1
 ・総論(LSAの意義,倫理,個人情報の取り扱いなど)
 ・親族法入門
②LSA・行政職員のための「法律に関する基礎知識」その2
 ・相続法入門(遺言を含む)
 ・くらしの法律入門①
  (いわゆる民法総則~債権総論までのうち基礎的なもの)
③LSA・行政職員のための「法律に関する基礎知識」その3
 ・くらしの法律入門②
 (契約各論の中で基礎的なもの,消費者被害,債務問題) 
④ LSA・行政職員のための「法律に関する基礎知識」その4
 ・成年後見制度
 ・虐待問題
 ・介護問題
 ・まとめその他

(つづく)
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後見 高齢者の見守りⅢ その5 [成年後見]

(前回のつづき)

 第1回のケース会議で施設入所に同意した被後見人が、その後施設への入所を拒絶し始めた。
 
 そこで、ケアマネに相談。
 何とか在宅で支援をすることができないか、介護保険外のサービスを使っても構わないと話を切り出した。しかし、ケアマネは「在宅では絶対にムリだ。この次は死んでしまう」と言うのだった。

 病院のPSWにも相談した。
 彼女は、「褥瘡は完治していて病院での治療は終わった。あとは受け入れてくれる施設に移ることが良いだろう。自宅でのひとり暮らしは、食事と服薬の管理ができないためムリだ。この点については、主治医の見解も一致している」という。ケース会議に本人も出席してもらって、主治医から施設入所の説得することになった。
 
 12月中旬、第2回のケース会議を病院で開いた。

 主治医やPSW、ケアマネから状況の報告を受けたのち、主治医による被後見人の説得が始まった。
 Dr.「救急車で病院へ運ばれた時の状況を覚えている?」
 本人「…覚えていない」
 Dr.「栄養失調と脱水症状で、2日間自宅で倒れていて、救急車で運ばれてきたときには一歩間違えれば亡くなっても不思議ではない状況だったんだよ」
 本人「…」
 Dr.「そのような状況からすると、自宅で1人でで暮らすのはできないことは分かるよね?」
 本人「全然分かんない。小さな家でも自分の家があるんだから、家に帰る。正月の支度もしなければならないから、こんな所にいる場合じゃないのよ。早く帰して」
 Dr.「それはできない。褥瘡などの体の傷は治ったけど、1人で生活できない状況は変わっていないんだよ」
 本人「もう大丈夫。長い間この病院にお世話になって、ぴんぴんになったから…」
 Dr.「あなたはそう思うかも知れないけど、主治医の私からみると、以前の状況は変わっていない。家にもどれば、また食事をとらず、薬も飲まないようになる。そして、また倒れる。今度は死んじゃうかもしれないよ」
 本人「絶対に、家に帰る。施設には行きません」

 このような会話が1時間半続いた。

 ケース会議では、このまま精神科病棟での入院を継続する方針で行くことに決まった。
 そして、会議が終了する間際、コツコツとドアを叩く音が。彼女が私に用事があるという。廊下で立ち話をした。
 彼女「1万円貸して」
 私「1万円でどうするの?」
 彼女「タクシー拾って家に帰るの」
 私「ダメだ。そんなことできない」
 彼女「だったら、先生の車に乗せてって」
 私「あのね…。この病院から出るためにどうしたら良いか、みんなで考えているんだよ。○○さんを苦しめるために話をしているわけではないんだ。施設に一旦入って、自宅で生活ができると主治医の先生が判断してくれれば家に帰れるんだよ…」

 しばらくして彼女は「それじゃあ、1か月くらいそこへ行けばいいの?」「2週間じゃ、ダメなの?」「1週間でも良いでしょ?」と言い始めた。しめた!

 翌週、彼女は住宅型の有料老人ホームへ入居した。
 当初は、「早く帰して」と担当者に言い続けていたそうだ。
 しかし、年が明けて私が会いに行ったときには落ち着いていた。友達ができたと言っていた。
 お嬢さん(長女)には、「ここは良くしてくれるの。買い物やレストランにも連れて行ってくれるの。ずっと、ここで暮らすことにした」とニコニコしながら言っていたそうだ。そして、茶箪笥と小さなテーブルを買ってくるように頼まれたそうだ。

 彼女の新しい人生が始まったように思う。
 とはいえ、この後もいろいろな問題が起こるのだろうな。どんな状況になっても寄り添ってあげよう。

(おわり)


 

 
 
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被災地における施設サービスの課題② [被災者支援]

 前回に引き続き、被災地における施設サービスの課題について考える。

 施設不足とミスマッチの問題だ。
 
 被災した施設の復旧・復興は進んでおらず、高齢者施設・障がい者施設は、被災以前に比べると物理的に不足している。

 また量的な不足のみならず、質的にも施設が利用者のニーズに対応できないというミスマッチを惹起している。
 
 例えば、グループホームなどの小規模な施設で対応すべき高齢者や障がい者が、施設が不足しているため特別養護老人ホームや老健などの大規模施に収容されて対応されている場合や、施設に入所することができないため仮設住宅で生活することを余儀なくされ、充分な介護を受けられない場合などである。

 また、認知症高齢者などは、住み慣れた地域で顔なじみの地域住民と生活することによって安心して生活をすることができる。しかし、現状では住み慣れた地域を遠く離れた場所で、しかも顔なじみの地域住民とも離ればなれの生活を余儀なくされており、この点におけるミスマッチも見過ごすことはできない。

 さらに、仮設のグループホーム(グループホーム型仮設住宅)や仮設の特別養護老人ホーム(特別養護老人ホーム型仮設住宅)の設置が認められたものの、それらの仮設施設の絶対量が不足している。

このように、被災地における介護施設はニーズに対応していない。

 岩手日報の記事(平成24年1月24日)
「 東日本大震災で被災した沿岸12市町村の特別養護老人ホームなど34の介護保険施設のうち、7施設が再開できずにいる。再開時期のめどが立たない施設も多く、1施設は再建を断念する方向だ。自治体の具体的な土地利用が決まらず、建設地のめどがつけられないことが背景にある。現在、入所者は内陸の施設などで受け入れているが定員超過の状態が続いており、早期の再開が望まれる。

 県によると、津波被害による全壊などで未再開なのは大船渡市の特養など2施設と、宮古市、釜石市、大槌町、山田町、野田村のグループホームなど5施設の計7施設。このうち野田村は再開を断念し、残る6施設は準備を進めているものの、再開時期の具体的なめどが立っていない施設が多い。

 県によると、内陸部を中心に県内32施設が被災した高齢者144人(昨年10月末時点)を定員超過で受け入れている。内陸の施設を利用する人の中には、地元に戻ることを望む人も多いほか、被災地では高齢化が進んでいるため地元での介護サービスのニーズが高まる可能性が高い。」

 自治体の具体的な土地利用の計画は、当該自治体のみならず県や国の政策と密接に連動している。国や県が具体的な土地利用のマスタープランを打ち出さないことには手がつけられないというのが現実のようだ。

 ここでも頼りにならない行政が、手枷足枷(てかせあしかせ)になっている。

(おわり)
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被災地における施設サービスの課題① [被災者支援]

 被災地における施設サービスの課題について少し考えた。

 
 まず、人材不足が深刻だ。
 
 高齢者施設や障がい者施設は、全国的に慢性的な人材不足に悩まされている。仕事の内容が過酷であるばかりでなく、施設従事者の給料が他の産業の従事者に比べて低額であることが影響しているからだと思われる。

 被災地においては、施設従事者が、地震や津波の被害に遭ったことや、被災地から遠方に疎開していることなどに起因して、全国的な人材不足以上に施設従事者が不足している。
 
 そのため、現在高齢者施設や障がい者施設では、少ない施設従事者が、施設の定員を超過した利用者に対して介護・支援することを余儀なくされている。慢性的な加重労働を強いられている。
 
 このような事情から、加重労働から逃れるために施設従事者は他の仕事に転職をしたり、他の地域の施設に転出することも多数見受けられる。

 この悪循環が、被災地における施設従事者の人材不足に拍車をかけていると言っても過言ではない。

 もともと安い施設従事者の賃金を、公的に補填する予算措置が必要であることは言うまでもない。

 それと共に、人材や施設の不足を改善するためには、市町村・都道府県の枠を越えた広域的な支援の枠組みを構築する必要がある。国が主導して他の都道府県から介護職員などを長期的に派遣することができる支援体制の整備も急務であろう。

 施設従事者の労働市場を流動化させ、半年・1年・2年のタームで、施設従事者を他の法人に出向させることを義務づけることはできないか。
 そして、出向をさせた法人には、何らかの財政支援が伴うという仕組みはどうか。例えば、被災地出向加算などというインセンティブ。
 施設従事者に対しては、出向後元の法人に戻っても、以前からその法人に勤めている時と同等の身分保障があることが不可欠であろう。

 この課題に対する対応は、国が主導して、都道府県がそれをバックアップする。市町村は積極的に人材を確保し国が作り都道府県がバックアップしたラインに乗せていくという仕組みが必要だ。

 政策立案能力のある政治家とやる気のある官僚、スーパーバイズのできるブレインがいれば「鬼に金棒」なんだが。
 
 (つづく)
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あの悪夢 [弁護士]

 つい最近、またあの悪夢をみた。

 ここ数年、あの悪夢をみなかったので、もう見ることはないと思っていたのに。
 大声をあげたようで、隣で寝ていた妻から「大丈夫?」と声をかけられた。

 自分は司法試験に合格していない、大変だー、という夢。

 弁護士になるには、司法試験に合格しなければならない。
 この試験が大変なシケン。私が受けたころ(20数年前)の試験はこんな感じだった。

 春に3科目の短答式試験(3時間)、この試験に合格すると夏に7科目の論文試験(3日か4日)。
 論文試験に受かると、7科目の口述試験(1週間か2週間)。
 試験は1年に1回しかなく、1回で全部受からないといけない。
 もし落ちると、翌年は始めから受け直すことになる。

 試験に落ちるたびに、「また来年か…」と肩を落とす。この落胆は並大抵ではない。
何の身分もなく、確実に合格する保障もない。底なし沼に足を踏み入れたような感覚だ。
一度この試験に足を踏み入れると、足抜けができない麻薬のような試験だ。

 40歳になっても50歳になっても受け続けている、牢名主のような先輩がゴロゴロいたが、合格して晴れやかに旅立っていく人たちを見ると、「来年は自分も…」と気持ちを取り戻す。そんな毎日だった。

 この試験に受かると、2年間司法修習をする(現在の司法修習は1年間)。司法修習生の卒業試験(2回試験)に受かると、裁判官・検察官・弁護士になれる。

 私も、淡い夢を見続けた。大学を卒業して6回試験を受けた。6回目に受からなかったら、7回目、8回目…と受け続けていたのだろう。そう思うと、背筋が冷たくなる。時折でてくる「悪夢」は、未だに癒えないトラウマなのだろう。

 「淡い夢」と「悪夢」は表裏の関係にあるのかもしれない。
 今から思えば、夢が叶うと言っても、スタートラインに着くに過ぎないのだが。

 (おわり)
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危急時遺言 その3 [弁護士の仕事]

  ドラマは、まだ終わっていなかった。

 12月30日夜、主治医から携帯に電話があった。
 依頼者の妹から「兄の病状を教えてくれ」という電話がきているが、どうしたらよいかという問い合わせだった。
 個人情報保護法によれば、依頼者の同意がなければ告知すべきではない。まして、電話の相手が本当の妹かどうかも分からない。依頼者に確認をしてから対応すべきであると答えた。

 12月31日、ケアマネから電話があった。
 長男と妹が依頼者の自宅を訪れ、長男にすべての財産を相続させることになったので、遺言は不要になったという。私は、再度依頼者に意思確認するようケアマネに指示をした。

 依頼者は、モルヒネの影響はあるものの判断能力はある。
 長男にすべての財産を相続させる意思に変わりがないことを確認した。

 危急時遺言の手続(家裁への確認手続)を中止した。

 年が明けて、長男に電話をした。
 弁護士が預かっている権利証や預かり金を返すことを伝えると、
 長男は「医者から、父はここ数日の命だと言われている。自宅で付き添ってあげたい」という。
 そのため、落ち着いてから事務所に取りに来てもらうことにした。

 この事件の全体像が見えてきたように思う。
 他方、父と長男・妹との関係性が見えない。
 両者の間に何があったのか…

 当初、依頼者から長男や妹との間に何があったのか、敢えて聴取しなかった。
 それを聴くことによって、依頼者の心の安定を乱すのではないかと考えた。
 それで良かったのだと思う。

 彼にとって、命が燃え尽きるときに、寄り添うひとが誰もいなかった。
 短い時間ではあったが、私が彼に寄り添えたことで良しとしよう。

 (おわり…たぶん)

 
 
 

 
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危急時遺言 その2 [弁護士の仕事]

(きのうの続き)

 翌12月28日早朝、臨時事務所会議。
 自筆証書遺言が書けないからといって諦めて良いのか、危急時遺言を作成することはできないのかと、若手弁護士から声が上がった。諦めかけていた自分を恥じるとともに、在宅の依頼者に医師の協力を得ることができれば危急時遺言は可能であると思い始めた。

 危急時遺言は、臨終の際にある人が、証人3人の立ち会いの下に作る遺言だ。
 遺言者が臨終の際にあり自力で遺言は書けないが、判断能力は充分にあるとの、医師の診断が必要となる。遺言者が口授した内容を書き留め、遺言として作成する。そして、遺言作成から20日以内に家裁に「確認」という手続をする。証人と医師は家裁に出頭して裁判官から遺言作成の経緯などについて質問を受ける。
 
 ケアマネに電話をして、主治医が依頼者の自宅を訪問することは可能であるか尋ねた。すると、今日の午後訪問診療を受診する予定であるという。

 「しめた」と思った。

 診断書の雛形を医師に送信したところ、短時間の訪問診療の際に診断書作成を前提に立ち会うことは難しいとのこと。そこで、主治医は午後8時に依頼者宅を訪れてくれることになった。

 午後7時、弁護士3人とケアマネは、依頼者宅を訪れた。
 自筆で遺言が書けないことを確認し、危急時遺言の方式について説明した。
 表情を見るだけでも、依頼者は昨日よりも体力が落ちているようだ。微熱のため夜はほとんど眠れなかったらしい。

 昨日から、遺言の内容をずっと考えていたそうだ。そして、シンプルな方が良いという結論に達したという。遺言の内容は昨日の話と違っていた。長男にも財産を相続させるという内容だった。恨み辛みの対象だった息子に財産を相続させることになった経緯は敢えて聴かなかった。

 作成した文案に、依頼者は満足していた。主治医がやってきたのは午後8時を回っていた。書いてもらう診断書のポイントと今後の手続を主治医に説明し、主治医は手続に協力することを約束してくれた。

 依頼者は、ベッドで顔をゆがめている。徐々に痛みが出てきたようだ。主治医は、この手続が一段落したので、明日から少し楽になる薬を処方すると言う。モルヒネらしい。意識は朦朧とすることになる。ギリギリの段階で遺言書を作成することができた。

 午後9時過ぎに、危急時遺言は完成した。

 何とか依頼者の意思を実現することができるという安堵感はあるものの、死を目前にして苦痛に顔をゆがめている依頼者のことを考えると、3人の弁護士は重々しい気持ちでいっぱいだった。依頼者の安楽を祈るばかりだ。

 おわり

 
 
 
 
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危急時遺言 その1 [弁護士の仕事]

 年末の弁護士は忙しい。

 12月26日、湘南の地域包括支援センターのケアマネージャーから電話。
 70歳代、在宅の男性が遺言を書きたいと言っている、相談を受けてくれないかと。
 末期癌で余命2週間だという。
 ADLの状況を聞くと、ベッドからトイレまで伝え歩きができる。
 字は書けるかと聞くと、字は書ける。
 その日は予定が詰まっていたため、他の弁護士を派遣すると伝えた。
 しかし、どうしても私に頼みたいようだ。

 翌27日午後、ケアマネと自宅を訪問した。
 ゴミ屋敷だった。
 玄関から寝室までの通路が、辛うじて通行可能。まるで、立山のうずたかく積もった雪の間を車で通るような感じだ。数日前に、ゴミ袋9袋分のゴミを処理して「道」を作ったそうだ。
 寝室にたどり着くと、尿バッグを抱えた依頼者がいた。
 自己紹介をして「延命効果が…」と言い始めたが、彼は「ボクには影響はなさそうだな」と。
 生活史を聴きながら、財産のこと、親族のことをに話が及んだ。
 離婚した妻との間に息子がおり、妹がいるが、2人には一切財産を残したくないという。
 財産は友人にあげたいという。

 
 戸籍謄本も登記簿謄本もない。それに、28日が御用納めであるため、公証人に来てもらうこともできない。そこで、自筆証書遺言の作成をすることになった。

 遺言の骨格が固まるまでに、1時間半ほど経った。「それでは、そろそろ書き始めましょうか」と言って、依頼者に筆記用具を渡したが、「遺言書 遺言者●●は、」と書いたところで、「もうダメだ。書けない…」と言って絶句してしまった。
 全身に力が入らず、字が書けないという。代筆してくれないかともいう。
 自筆証書遺言は、全文を自書しなければ無効になってしまうことを説明した。
 依頼者も私も、ケアマネも、落胆して二の句が継げない。

 私は、聴き取った内容に沿った文案を書いた。そして、「ゆっくりで良いので、体調の良いときに書いてください。書き終わったら、預かりに来ますから」と言って、依頼者の自宅を後にすることにした。
 ケアマネに、残念ながら自筆証書遺言は完成されないかもしれないことを伝え、遺言がなく亡くなった時の対応について話し合った。

 車を運転しながら、依頼者の人生と自分の人生とを重ね合わせていた。そして、これから起こるであろう事態を思い描いていた。

(つづく)
 
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芸人と弁護士 [弁護士]

 「よしもとがおくる 笑って納得 成年後見制度」開催 11月28日(月)13:30 かなっくホール(東神奈川駅徒歩​1分) くまだまさし、ショウショウ、THEフォービーズ、ロシ​アンモンキー、おしどり 延命政之弁護士(横浜弁護士会所属) http://​kanagawa-kanapan.sblo.jp/​article/48320558.html

 定員300人のホールが、動員もかけずにほぼ満員になった。この舞台(講演ではなく公演)の模様をレポートする。

 初めに、ショウショウというお笑いコンビ(芸歴約20年)がMCとして登場した。いきなり売れない芸人の本音トーク。(会場は期待どおり、笑いが引いていく。サムイ!) その後、若手芸人が3組、持ちネタを披露。くまだまさしさん以外の芸人さんはなかなかおもしろかった。

 続いて、ショウショウをはじめとする芸人と私の掛け合い。
 ショウショウ「まず先生、一言で成年後見って、どんなものなんですか?」
 私「それでは、こちらをご覧下さい」(パワポを使って制度の説明)

 説明を受けて、芸人たちからの質問。
 A「判断能力が低下したひとは、どんなことで困っているんですか?」 
 B「どうやって支援するんですか?」

 くまだ「成年後見人って、だれでもなれるんですか?」
 私「あんたは、なれない」
 くまだ「なんでなれないんですか?」
 私「カネに困っているから…」
 芸人全員が、私めがけて突進してきた。

 くまだ「先生、さっきからボクの顔ばかり見ていたけど、なんか恨みでもあるんですか?」
 私「恨みはないけど、あなたにはカネもないでしょ」
 芸人全員が、パイプ椅子をもって、私めがけて突進してくる。

 ショウショウ「なんで僕たちが後見人になれないか、教えてください」
 私「成年後見人は人の財産を管理することも仕事のひとつになっています。カネに困っている人では、被後見人の財産を使い込んでしまう可能性があるからです。」
 芸人全員「はぁ、そういうことだったのか」

 ショウショウ「成年後見制度というものの存在は分かりました。では、どういうシステムになっているんでしょうか」
 私「それでは、こちらをご覧下さい」(パワポを使って制度の説明)

 こんな感じで話が進んでいき、実際に成年後見制度で救われたという事例について寸劇。被害にあった高齢者・障害者と、悪徳業者との会話から入り、困っているときに成年後見人が登場する。
 お姉さん「こんなとき、正義のヒーローがいれば。そうだ、成年後見人がいるじゃないですか。みんなで一緒に呼びましょう。せ~の、成・年・後・見・人!」
 そこで、成年後見人が登場。
 成年後見人「ちょっとすいません!…」
 この寸劇の合間に、ショウショウと私の掛け合いがあり、私がコメントをしていきました。

 それにしても、台本が、(よしもとらしく)ズサン。
 台本の随所に「※よきところで…」とか「※終わったところで…」と書いてあるだけ。

 いくらアドリブで証人尋問をする私としても、笑いをとりながらのアドリブには、参った。
 少しオーバーアクション?になってしまったのは、この辺りの事情によるものだ。

 人前で一度でも笑いをとると、やみつきになる。これが、よしもととコラボをして感じたことだ。
 どこかの府知事から市長になった元弁護士も、この「人前で笑いをとって、自分は何でもできると思ったこと」が堕落への第一歩だったのではないのか。

これ以上、お笑いの世界に足を踏み込まない、弁護士としての本来の仕事をガンバル、このことを心に誓って舞台を降りた。

                                                      おわり
 

 


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